新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)
- 作者: 戸田山和久
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/08/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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必要に迫られて購入。Amazonのレビューでも概ね好評でしたが、読んだ印象としても良書でした。改訂再販されてよかった。でもその割に誤植っぽい部分もあったような。まあいいけど。いや、よくないけど。
本書はタイトルの通り、論文の書き方について詳説されております。
小中高と、「作文」や「読書感想文」は書かされてきたけど「レポート」「論文」なんて書くどころか読んだこともなかったわ!でも大学に進学したらやたらレポート書かされて、普通に書いたら不可だったんだけど!みたいな人たちに向けて書いた、という背景のようです。
某大学工学部1年生の作文ヘタ夫くんが、生命倫理学についての論文を書くという課題を与えられたところから「物語」は始まります。自分で考えて書いた第一稿は散々な出来でしたが、これを著者との対話の中で、正しい形式に則った論文に仕上げていくという流れで書かれています。
それはもう親切丁寧に、論文とはそもそも何か、小説や解説との違いは何か、というところから、辞書の選び方、資料の集め方、最終的には論理学を導入して弁証法を用いた構成の方法まで、これを読んでも「書き方」がわからない人は大学に在籍することを諦めた方がいいんじゃないか?と思うくらい突っ込んだ内容です。
ただし、この本を読めば即論文が一本書ける、というわけではもちろんなく、構成や論証には訓練が必要だと思いますし、そのための練習問題も章ごとに掲載されています。なかなか骨太な問題が多いです。
まずは全体を読んでしまおうと思ったので、練習問題にはまだ手をつけていませんし、弁証法などについてはもっと読みくださなければと思うところが多いですが、現実にレポートの課題を抱えている身としては、読み終えたそばから資料集めに奔走したくなってきました。要するに書いてみたくてうずうずしてきたわけです。これだけでもこの本は相当の価値があると思います。買ってよかった。
砕けた文体で、著者の趣味もよーくわかるような軽さすら感じられますが、内容はハードで真面目です。読みやすいのに中身が難しいという矛盾を感じながら、それなりの時間をかけて読みました。日付が変わってすぐくらいに読み始めたのに、読み終わったら午前2時だったよ…。
これからレポートや論文を書く予定のある人には、導入として強くお勧めできる一冊です。今ならKindleで¥599ですよ!