Sea of Tranquility

しずかのうみ

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

www.gundam-seed.net

このブログの初期でリアタイ視聴して熱く語っていたガンダムSEEDシリーズの映画化が20年?15年くらい?の時を経て実現しちゃいました。正直申し上げましてTVシリーズの終盤はなんだかぐだぐだな展開で、登場人物たちは「僕は…」でフェードアウトする完結しない発言をしたり「なんなんだ、あんたたちはーー!」と叫ぶだけみたいな惨状を呈し始めていたので、期待はしておりませんでした。期待してなかったからよかったのかもね。普通に面白かったです。まあでもリピは、映画館ではしないかな〜。

以前このブログでレビューを書いていた時って、ちゃんと録画したものを再生して、セリフを書き留めたりしてたんですよね。今はさすがにそこまでの熱量はないです。でもアマプラで観れるようになったらまた観るかも。(オリジナル短編小説の配布が再開されたら映画館行っちゃうかも)(ダメじゃん)

以下、特にネタバレには考慮せず書き散らします。

総括すると、気持ちはちゃんと言わないと伝わらないよ。あと、私(ズゴック)の中にあなた(インジャ弍)がいてよかったね!というお話でした。

なんか汚い大人になっちゃったのかなアタシ、って思うんですけど、大気圏内で金属製の巨大な人型の戦闘機械の運用って割に合うんですかね。宇宙空間ならまだしもって気はします。

T. Komuro作曲のOPテーマかっけぇっすね!発進シークエンスも丁寧に描かれていてかっこよかった〜。ミレニアムの艦長さんいい味出してた。この人は本編通じてずっといい味を出し続けます。

シンはキラの部下になって、なんでも隊長が自分でやっちゃうもんだから活躍の機会が回ってこなくてフラストレーションが溜まってそうでした。ルナマリアは相変わらずだったけど、色んな意味でもうちょっと自己主張強くて存在感あってもよかったんじゃない?アグネスの方が(ラスト近くで舌戦も展開されるけど)なんか強いんだよね。ていうかシンルナはやっぱなんか空気だなって感じでした。シナリオの中で鈴村夫妻イジるのやめてほしかったですね。楽屋オチすぎる。

キラとかSEEDの頃からうじうじぐじぐじしてたのに、映画でもおいしいヒーローポジもらっちゃって、結局DESTINYってなんだったんだろ〜ね〜。でも本作でもデスティニーはめっちゃ引きずってましたね。つかやっぱデスティニーってスッキリ終われてなかったんだね。

デュランダルの亡霊もあっちこっちに出てくるし、またレクイエム〜?そしてまたレクイエムの第一中継ステーションが弱点なんだねぇ…。前回はアカツキジャスティスがあっさり処理しちゃったんでしょ。今回は…いや今回もアレか…。

ていうか「レクイエム」のイントネーションが腑に落ちない…。

ロボットアニメなはずなんだけど、いろんなカップルがそれぞれの愛情を確認し合ったり、勝手な思い込みでがっかりしたり、やっぱりこの人しかいないわ!って覚醒したりする壮大なラブストーリーで、1人で観に来てたヲタクたち息してたか心配になりました。

みんな臆面なく愛という単語を口にするもんだから共感性羞恥で感情が忙しかったです。でも一番もやもやしてたキララクがちゃんと鉄板になれてよかった。よかったよぉ。

輝いていた皆さん : アレクセイ・コノエ(ミレニアムの艦長)、アルバートハインライン(ミレニアムの真田志郎)、ミリアリア・ハウ(かわいい)、大量発生するハロ

あと、キラに「ミレニアムを頼むよ」と言われて嬉しそうなシン。なんか大人になっちゃったイザークディアッカ

残念だった皆さん : ブラックナイツの皆さん(オルフェとシヴァ以外ほぼ空気)

あんなに人数いなくてもよかったんじゃないか…リデラードちゃんとかほんと、ただテンション高いだけのおバカちゃんでかわいそうだった。この子イングリットの妹なんだろうけど、そういう設定もあんまり生きてなかったし。

モンスター化しちゃったステラもかわいそうだったな…。アウラさまもある意味モンスターだったね…。見た目コドモなのに中身がちゃんとオバサンになってて、ゆかりんの演技は秀逸でした。

空気といえば一番空気だったのって結局ブルーコスモスだったかもね。

自称優秀な人たちが、そうでもない人たちをいいようにしようという観点から行動して他人に迷惑をかけるっていう展開がこのシリーズの根幹なのね、と今SEEDのダイジェストを見ながら思っているところです。

そういえば、フリーダムに乗ってるキラが正義とその使い方に悩み、ジャスティスに乗るアスランが自由に行動している対比がいいなあと思いました。

アスランは全体的にいいところもっていきすぎだよ、いつもだけどな。

もやもやした20年にピリオドが打ててよかったです。ほんと。過去作へのオマージュも満載なので、細部を覚えている人ほど楽しめること請け合いですしね。私は自分でブログまで書いておきながらなんも覚えてませんでしたが(笑)

EDテーマがSee-Sawなのも熱かった〜。製作に関わった皆様、おつかれさまでした。

 

 

ホーンテッドマンション

キャラクターには特に思い入れはない(スティッチと、ナイトメアビフォアクリスマスのキャラクターを除く)んですけど、パークの雰囲気が好きなので隙あらば行っています。最近隙がないので行けてないんですが…。

中でも「構造わかりきってるのに毎回絶対並んでしまう」アトラクションがこれ。ホーンテッドマンション。映画化されたので観てきました。いや最高です。

www.disney.co.jp

ネタバレもなにもパークにあるアレそのまんまなんですけど、『NOPE』とちょっと似たコンセプトですね。もっと遡ると『ゴーストバスターズ』とか。チームを組んでの幽霊退治です。

アトラクションの再現部分はともかく、人間ドラマがちゃんとあってけっこうほろっときます。ダニー・デヴィートが元気そうでよかった。絶叫クイーン(ホラー映画で叫ばせたらピカイチ)のジェイミー・リー・カーティスも美しかった。え、ていうかクランプ邸のガイドってウィノナ・ライダーだったの!?言ってよ… (気づけよ…)

本作の舞台は合衆国はニュー・オーリンズです。なぜかと言うと、本家ディズニーランド(アナハイム)のホーンテッドマンションニューオーリンズスクエアというアメリカ南部の街を再現したエリアに建っているからですね。作中、主人公が住んでいる家の周りが本当にディズニーランドのニューオーリンズスクエアと同じ街並みで、ファンとしては大満足でした。

私が生まれて初めて訪れたホーンテッドマンションアナハイムでした。

もう特殊効果とかキャストの制服とか音楽とか、なにもかも作り込まれていて一度でファンになりました。

その後東京で再度このアトラクションに乗った時、「あれ?既視感…」となったんですが、これは邸の無限廊下がスタンリー・キューブリック監督の映画『シャイニング』に出てくるオーバールック・ホテルの廊下を彷彿とさせたからでした。どっちを先に観ても怖いのでおすすめです。

怖いって言ってもアトラクションとしてのホーンテッドマンションはそこまで怖くないです。ただ、幽霊たちが美しく、かわいく、お茶目で、ちょっと間抜け。

その一番大事な部分をこの映画はちゃんときっちり描写していて、素晴らしかったです。

映画の内容に踏み込んでもいいんですけど、ここでは過去私が行ったことのあるホーンテッドマンションについて短くまとめてみます。

アナハイム→東京ときて、次に行ったのはパリ。

ディズニーランド・パリのホーンテッドマンションは、ファントムマナーという名称で、ヨーロッパのテーマパークなためか逆説的に(?)舞台がアメリカ中西部になっています。背景はビッグサンダーマウンテン。パリのファントムマナーはビッグサンダーマウンテン開拓にまつわる悲しい物語がベースになっていて、アメリカや日本のホーンテッドマンションとは少し雰囲気も違います。

とはいえ基本的には映画に出てきた例の椅子みたいな乗り物に乗って建物の中を回っていくシステムで、大筋はそんなに変わらないです。

香港ディズニーランドにはホーンテッドマンションはなくて、ここにはミスティックマナーという全く別のアトラクションがあります。全く別なんだけど「ちょっと怖かったり不思議だったりするものを見る枠」としては同カテゴリかな。ミスティックマナーは!おすすめ!マジで!

映画関係なくなっちゃったよ〜。

孤独は人を追い詰める。でもひょんなことから仲間になった人たちに救われることもある。仲間っていいね。ビッグラヴ。

そんな映画です。パークと両方楽しんで!

NOPE / ノープ

またまたひょんなことから映画を観てきました。

nope-movie.jp

実はこの前にも2本(『トップガンマーヴェリック』と『シン・ウルトラマン』)も観たんですけどその話はまた後日。でも『シン・ウルトラマン』観た時に予告編流れたんですよ、『NOPE』の。


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予告編見てなんか面白そうだなって思っていたら、知人に誘われたのでホイホイ行ってきました。

ネタバレは避けたいけど感想も書きたい。どうなるかわからないけどレッツゴー。

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【閲覧注意】ネットの怖い話 クリーピーパスタ

夏なので怖い話が読みたくなりました。

クリーピーパスタのクリーピーは英語のcreepy。気味が悪いとか不快、みたいな意味です。creepyをcopyになぞらえ、pasteがpastaに変形されて、気味の悪い都市伝説をみんながコピペしていろんなネット上の媒体で広がっていく様を「クリーピーパスタ」という用語で表現しているというわけ、らしいです。日本だと2chのオカルト板にあった「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」というスレッドが有名かも。あれも2chを飛び出していろいろな場所に貼られていました。

アメリカのホラー、オカルト作家さんたちがプロアマ入り乱れてネット上に作品を公開していて、この本はそれらを集めたアンソロジーなのですが、編者のミスター・クリーピーパスタは怖い話専門のユーチューバーらしいです。なんかいろいろすごいですね。

ミスター・クリーピーパスタの最新の動画がこちら。ちらっと観た感じ臨場感と緊迫感たっぷりの朗読でどっちかっていうと稲川淳二的立ち位置…?


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短編集をネタバレせずにレビューするのほんとに難しいので私の読後の感想だけ、例によってちゃちゃっと羅列していきますね。

這いずる深紅 マイケル・マークス/ Creeping Crimson - Michael Marks

正統派ホラーの舞台設定であれよあれよというまに悲惨な状況になっていくスピーディな作品。賢くて強い奥さんが大活躍。

おチビちゃん マックス・ロブデル / Teeny Tiny -  Max Lobdell

星新一とかが書きそう(ボリューム的にも)?しかしこの子はある程度結末が予想できた上でのあの行動だったのでは…?ある意味日本人にはちょっと書けない題材かも。

香り マイケル・ホワイトハウス / Perfume - Micheal Whitehouse

ホラー作家マイケル率高っ(二人目)。ちょっとゴシックっぽい構成で、現場の湿度や暗さ、静けさ、もちろん香りまで描写できている表現力がさすが。グラビンスキっぽさもあるかな。

図書館の地下室で ロナ・ヴァセラー / Down In The Library Basement - Rona Vaselaar

この作品が一番のお気に入り。翻訳もこなれていてお上手。後でご紹介しますが、本作の翻訳はアマチュアの翻訳勉強会のメンバーさんたちが分担で行いました。この作品の翻訳は曽根田愛子さん。ほんとうまい〜。内容も、一番面白かった!

スピリット・ボックスから聞こえる声 マイケル・マークス / Voices In The Spirit Box - Michael Marks

マイケル・マークス二作目。スピリットボックスとはなんぞや?と思いながら読みました。検索したら普通にアマゾンで売ってた。ゴーストハント用の、幽霊の声受信機みたいな?もっとオルゴールっぽい、ナチュラルテイストな箱かと思ったら意外にもハイテクでびっくり。まあここから声が聞こえるっていう話なんですけど救いがないです。

ハドリー・タウンシップに黄昏が迫るとき T.W.グリム / When Dusk Falls On Hadley Township - T.W.Grim

ストーリーは全く違うんだけど、まとった雰囲気がシャーリイ・ジャクスンの『くじ』っぽい。閉じられたコミュニティで受け継がれる忌まわしいしきたり、っていうお話。ちょっと『悪魔のいけにえ』(映画)っぽい感じもあるかも。

無名の死 アーロン・ショットウェル / They Die Nameless - Aaron Shotwell

最後まで読むと1ページ目に戻りたくなるような話。研究って因業だなあ。

感じのいい男 ウェルヘイ・プロダクションズ / The Nice Guy - Wellhey Productions

この読後感…前に読んだ『30の神品』に収録されていたジョン・コリアの「ナツメグの味」っぽい…。あと、スティーヴン・キングNight Shiftに収録されているThe Man Who Loved Flowersみたいな。

黄色いレインコート サラ・ケアンズ / The Yellow Raincoat - Sarah Cairns

色のついたレインコートっていうと映画『赤い影』を思い出してしまう。黄色の方がまだかわいいかと思ったけどそうでもなかった。翻訳がちょっと硬いかなぁ。

「うつ」は魔もの Goldc01n / Depression Is A Demon - Goldc01n

4ページ半くらいの超短編だけどいい感じに怖い。

舐める熊 マックス・ロブデル / Licks From A Bear - Max Lobdell

「おチビちゃん」の人。この人人体改造ものが好きなのかな。だんだん壊れていくの怖すぎる。

妄想患者 マット・ディマースキー / Psychosis - Matt Dymerski

精神の壊れ方が似てるから感想を書くために再読するまで「舐める熊」と中身がごっちゃになってた。人との真っ当な交流ってだいじ…。

樹の下の女 マイケル・マークス / She Beneath The Tree - Michael Marks

マークスさん3作目。これもね、めっちゃグラビンスキっぽいよね。日本の話で言うと捨てたはずの呪いの人形がいつの間にか戻ってくるみたいなやつ。

スマイル・モンタナ アーロン・ショットウェル / Smile. Montana - Aaron Shotwell

設定がちょっと伊藤計劃のアレっぽいし、「この手紙を受け取った人は100人に…」っていうやつ。

殺人者ジェフは時間厳守 ヴィンセント・V・カーヴァ / Jeff The Killer : Right On Time - Vincent V. Cava

この白いパーカーを着たティーンエイジャーの殺人鬼はクリーピーパスタ界でも有名なキャラクターっぽいですね。先を越された殺人者がびびってるところがカワイイ。

文中でも少し触れたんですが、翻訳は「自由が丘翻訳会」という翻訳勉強会のメンバーさんが担当しています。メンバーの一人で翻訳者の筆頭に書かれた倉田真木さんは講師なども務める職業翻訳家のようで、さすがにこなれた文体でした。こういう試みすごく面白いし、ネットで流布したクリーピーパスタを日本に紹介するのにふさわしい展開だなって思います。今後のご活躍をお祈りします。

めっちゃ怖かったのは何編かでしたけど、総じてよくできたホラーで読み応えがありました。まだ暑い日が続きそうですのでちょっと涼しくなりたい時におすすめです。

 

 

 

点子ちゃんとアントン

小学生の頃に読んでいたお気に入りの児童文学を再読しました。

昔読んだのは高橋健二さんの翻訳だったと思います。

池田香代子さんの訳は現代的で軽妙でテンポがいいですね。

初読の時は点子ちゃんとアントンの生育環境の格差はあまり気にしていませんでした。まあ、当の点子ちゃんがあんまり気にしていないですからね。でもケストナーは各章の終わりに教訓っぽいコメントを書いていて、そこでは富めるものと貧しいものの対比についても語られていたんですね〜。全然覚えてない。

10代の私だったらケストナーいいこと言うじゃんって思ったかもしれないけど、今読むと「そんなきれいごとで済むかなあ…」という印象を抱いてしまったくだりもありました。

ところでなぜ今読み返したかというと、マリー・アントワネットの発言と言われている「パンがなければお菓子を食べればいいじゃないの」Qu'ils mangent de la brioche ! のアネクドートを児童文学の中で初めて引用したのがこの作品だと知ったので、好奇心で選んだというわけでした。この発言はもともとルソーの著書『告白』で紹介されたのですが、そこではマリー・アントワネットと明示されてはおらず、出版当時はまだアントワネット自身わずか9歳でこのような発言ができたとは思えない、よってこの発言はマリー・アントワネットのものではない、というのがもはや定説です。しかし、ケストナーはきっちり「マリー・アントワネット」と名指ししています。一応、マリー・アントワネットは貧しい平民の生活を知らなかっただけなのだというふうに擁護もしているのですが、そもそも別人の発言だと検証されればちょっと濡れ衣ですよね。

そんなわけで、懐かしいお話を読んで、一度だけ行ったことのあるベルリンの街を思い出したり、ペニヒ、マルク時代のドイツを懐かしく思ったりしました。点子ちゃんは破天荒で悪気なく状況をひっかきまわすのがすごい!アントンは思慮深く頭がよく、でも行動力があり機転もきき時には暴力に訴えることも辞さないという理想的ヒーローキャラとして描かれていましたね〜。冒頭では存在感が薄かった点子ちゃんのパパが終盤で大活躍するのも楽しい!

それにしてもアンダハトさんの彼氏、だめんずだなぁ…。

今度は『飛ぶ教室』も再読しようかな。