Sea of Tranquility

しずかのうみ

サイド・エフェクト

サイド・エフェクト [DVD]

サイド・エフェクト [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2014/03/08
  • メディア: DVD

上映終了前に駆け込みで観てきました。 映画館自体久しぶりで、本編前の予告編の長さに辟易しつつ…。 まずはざっくりあらすじ。エミリー(ルーニー・マーラ)は遣り手の投資家かなんか(このへんの描写が割といいかげんだったので適当)だった夫マーティン(チャニング・テイタム)がインサイダー取引で収監されて以来ひとりぼっちでけなげに生きてきたのだが、ついに夫が釈放される日が来た。嬉しいね。しかし夫が服役中に患ったうつ病が治らず、発作的に自殺を図ったりしたため精神科医バンクス(ジュード・ロウ)のクリニックへカウンセリングに通い始める。処方されたよくある抗うつ薬があまり効かず、業を煮やした彼女は新薬を試したいと申し出て、ちょうど他社の新薬の治験に協力して小金を稼ごうとしていたり、エミリーのもと主治医からとある新薬を勧められたりしたバンクスは、二つ返事?そうでもないか。渋々「とある」新薬を処方してしまう。飲み始めた当初はいい感じだったが、そのうちエミリーは夢遊病の症状に悩まされ始める。薬の副作用と判断したバンクスは薬を変えようとするが、「他の薬は効かないからヤダ」とエミリー自身から拒絶され、しかたなく新薬の処方を継続する。しかしある日、副作用で夢遊病状態のエミリーがマーティンを刺殺してしまった。裁判では心神喪失で無罪、その代わり入院措置が執られる。バンクスは入院中も彼女の主治医として往診を続ける。エミリーは、面会に来た夫の母に「薬の副作用でこんなことになってしまった」という声明を渡し、母はそれをテレビ出演して読み上げ、処方したバンクスと新薬の製薬会社の立場が一転して最悪に。バンクス自身が罪に問われることはなかったが、新薬もろとも評判を落として仕事も干され、妻からは愛想を尽かされ大ピンチ。しかし転んでもただでは起きない。ふとしたきっかけからエミリーの言動に不審を抱いた彼は、(どうせ仕事減ってヒマだし)さまざまな物証を得て一発大逆転を図る。がんばれバンクス!

みたいな映画でした。以下ネタバレです。

バラしてしまうと、一発大逆転が見事成功するので後味がいいです。 しかしエミリーの事情を描き込むならもっと「とある必要な要素」をじっくり盛り込まないと。「投獄されても夫が好き好き大好き」もしくは「夫うぜー。いなければすっきりするのに」のどちらか。ただ彼女の不安定な日常をだらだら描いても伏線になってません。一番足りなかったのが「もともとちょっとアレだった」という部分かな。後半の展開に大事な伏線なのに、ダンナとトメが「えっあれ再発したの?」「そうなのよ。あなたがいない間けなげにがんばっていたんだけどね…」という会話を交わして説明終了なのでもったいなかったです。もちろん過去の受診歴なんかも出てくるのですが、もっとエミリー自身に語らせるとかした方がよかったかも。 ところで、エミリーのあれをうつと言ってしまうと日本人のうつ患者は「え~!?」って思っちゃいそう。アメリカのうつ患者はポジティヴなんですね…。かなり深刻な状態の割に普通に仕事にも行ってるし、一度乗ったら降りられない「船上パーティ」なんて本来絶対行ってはいけないのでは? エミリーが夫マーティンの面会に行った時に塗ってたルージュがかわいかった。あれはどこのメーカーなんだろう…。 ジュード・ロウはフランス語も堪能な、祖国を捨ててアメリカでえげつなく稼ぐ英国人精神科医バンクス先生をいやみったらしく演じており私としては高評価。中盤以降自分の立場が危うくなって、家族も顧みずに検証に打ち込み、ちょっとおかしくなってくるあたりの演技力はさすがでした。 エミリーを過去診察していたヴィクトリア先生(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)、濃い。濃いわ-。そしてもしかしたら演出が意図的にそうなっていたのかもしれないのですが、途中で「エミリーとヴィクトリア先生…あやしい…(レズ!?)」と思ってしまうようなシーンが出てきて、案の定、でした。女性同士のラブシーンの方がエロかったです。 結局はエミリーの詐病で、それを唆したのがヴィクトリア先生。新薬の評判を落として製薬会社の株式暴落を狙い一儲けするという計画でした。「絶対ないわ-」と言い切れない状況のような気がして、製薬会社や精神科医はドキドキでしょうね。一発逆転の手法こそは、映画本編でお楽しみ下さい。 そういえばヴィクトリア先生は劇中で「双極性障害の患者に新薬を処方した時に発現する副作用の症状について云々」みたいな論文を書いていたことになっているのですが、当のキャサリン・ゼタ・ジョーンズ自身も双極性障害を患っていた過去があったとか。演じていても複雑だったのでは?そのへんさすがプロですね。 しかしアメリカの司法取引っていろいろ早く終わっていいシステムだと思うよねえ。日本でもやればいいのに。