Sea of Tranquility

しずかのうみ

アナと雪の女王

映画の登場人物やあらすじは詳説しませんので公式サイトなどをご参照ください。

エルサは結局Let it goしてもありのままに生きてもそんなに幸せにはなれなくて、ただちょっと気が楽になっただけだった。自分と正面から向き合わないと現状は打開できない。 本来氷の城を建設できるほどのものすごいポテンシャルを持った女性が、せいぜい自国の広場にスケートリンクを作るくらいで満足するラストは抑圧されている!というような大意を含む意見を見たような気もするけど、やっぱり氷の城に立てこもって強大な自分の能力を持て余すよりは、それをコントロールできるようになって笑顔で人と交流している方が健全なんじゃないか。人は一人では生きていけない。

さりとて、恋に恋して会ったその日に婚約まですることが「一人では生きていけない」ことを無条件肯定することではない。話も気も合うパートナーを見つけたー!って浮かれるアナはかわいいけど、そのままの彼女ではアレンデールを、ひいては姉を救うことはできなかった。彼女の軽率な行動も、根底には自国民に対する責任感と姉への思慕があるので観ていて違和感がない。

アナもエルサも向き合うべき自分と向き合って、自分の経験と感情から導き出された道を辿って、見事めでたしめでたしとなった。日本語詞は批判を受けることが多いが、「ありのまま」の自分でどうにもならなかったストーリーがきっちり内容を覆してくれているので結果的には上出来な内容だったといえる。ありのままでいるというのは、なにも努力をせずに野放図に生きることではなくて、至らない自分を認めることなんだろう。 アナは自分の甘い世界観の中で出会った嘘っこの真実の愛に騙されて痛い目を見て、ものすごい短時間でそこに決別して一歩前に踏み出したところで事態を動かすことに成功した。雪だるま作ろう♪ってごり押ししていた彼女と、ドリンクホルダーつきのそりをドヤ顔で提示する彼女に大きな違いは感じられないけど(笑) エルサは結果的に自分から山を下りる選択をしていないので、彼女自身の努力で何かを成し遂げたわけではない。でも最後の最後に自分に足りなかったものに気づいて、それを引き出す決心をした。努力するところはまた別のお話で、まずは自分に足りないものを自覚することから始めるんだよ。というお話でした。と思いました。

普段ディズニー映画を劇場に観に行ったりはしないんですが…。 今作は主題歌の25言語バージョンが公式から公開されたりしていたのもあって、ずっと注目していました。多言語好きなんです。 なんだかんだで都合5回くらい観てしまった。移動中の機内で観たのも含めてですが。 吹き替え版も観ましたよ。松たか子は特筆すべきこともなく普通に無難にお上手でしたが、神田沙也加はすごく生き生きとしていて、聞いていて楽しかったです。