Sea of Tranquility

しずかのうみ

ピエロがお前を嘲笑う

2本目〜。 「ピエロがお前を嘲笑う」 原題 WHO AM I – KEIN SYSTEM IST SICHER ハッカー集団が大活躍?するドイツ映画です。 シネコンでチケットを買う時に窓口のお姉さんにタイトルを言うのが恥ずかしいと思います、この邦題。まあ原題であってもなんだか気恥ずかしいですけども。ちなみにこの邦題は劇中で結成されるハッカー集団CLAYのこと。Clowns laughing at you を訳したもので、日本語で言うのは恥ずかしいけどこういう処理は悪くないと思います。 えーと、「結末が100%見破れないマインドファック・ムービー」という触れ込みらしいのですが、このカテゴリ名あまりセンスよくないですね。配給会社が考えたのかしら?せっかく邦題は悪くないのに。 大どんでん返しがあると聞いて観ましたが、「大」ってほどでもなかったような。

学校でも存在を忘れられがちで自らを「透明人間」と評するベンヤミン君が本編の主人公です。冒頭部分が結末というかクライマックスからの描写で、ベンヤミンが自分のやったことを欧州刑事警察機構(Europol)の捜査官に自白するところから始まる倒叙形式。なのでまあ観客のことはいかようにも騙せますよね。観客は捜査官のハンネさん視点で映画を観ることになります。 あまり結末に言及できないので、公開されている範囲の流れでいうと、目立たなくて冴えないベンヤミンくんがコンピューターにハマって、落第しちゃうー!と困っていた好きな女の子のために、大学のサーバーから試験問題を盗もうとして見つかり、50時間の奉仕活動を命じられていた時に自分と正反対の性格のマックスと知り合い…みたいなところから始まって、マックスが結成したハッカー集団の中で頭角を現していき、大好きなあの子にもなんとか近づくことができ…という青春ムービーです。あれ?違ったっけ。 ハッカーとひとくくりにされていますが、彼らはattackerでありphreakerでありwannabeなのかな、と思いながら観ていました。私はブラックハットってもっと自分の利益になるようなことをやる人たちなのかと思っていたんですが、単に「この業界?で有名になりたい」みたいな動機でやっているんですね。ハッカー同士で知名度を競ったり、大物ハッカーにどれだけ認められるかが喫緊の課題だったりするのでなんだかほほえましいなあ、と。 あと、自分はほとんど動かずにネットワークを介して標的に侵入したり改竄したりするのかと思ったら、意外と現地に乗り込んでサーバー室に入り込むなどのほんものの物理攻撃が主になっていたりして、体を張ってやっているというところがよく描写されていたと思います。ハッカーも大変ですねえ。 そんなので知名度を競って認められることに特に興味のない人は全く感情移入ができないのでさほど緊迫感も感じないかも。私は組織の事情や自分の能力の限界に悩むハンネさんと一番立場が近いせいか、ベンヤミンの自白も「あーはいはい」と思いながら聞いていました。 あとみんなコペンハーゲン大好きすぎ。そんなにいいとこか?ベルリンと比べて?意味不明。 ベンヤミンのおばあちゃんのアルツハイマーを診察していた精神科の診察室に飾られたマグリットの絵画がなんだか一番印象に残りました。 WHOAMI、はベンヤミンのハンドルネームらしいんですが、劇中使ったのはほんの数回であまりタイトルにするほどのインパクトはなかったです…が、まあ、ストーリー全体の根幹を示す言葉、ではありました。 関係ないけどシュテファン(ハッカー仲間)って名前ドイツ語だと無駄にかっこよく聞こえるよね響きが。ベンヤミンはちと間抜けな感じがするけどそれも狙ったのかな。 ハッカーたちの交流の場?であるダークネットを地下鉄の車両に見立てていたのは面白い手法だったと思います。 …と軽い感想を書いてきましたが、こんな記事を読んでしまうとこの映画が少し怖く感じられるかもしれないですね。

先にも触れましたが舞台はベルリン。一度だけ行って3日間いただけですが、ぼんやり観てただけで「あーここベルリンか…」と気づく程度にはドイツに行き慣れてきた今日この頃です。あ、映画本編とは関係なかったですねすみません。 というわけで続けて映画を2本観たんですが、さすがに2本目の後半はお尻が痛くなってきました。昔は1日5本とか観に行ったもんじゃったがのう…。