Sea of Tranquility

しずかのうみ

ベル&セバスチャン

ベル&セバスチャン [DVD]

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どういう心境の変化かわかりませんが、ふと思い立っていきなり連続で2本も映画を観てきてしまいました。まずは1本目。 フランス人女優/作家のCécile Aubryさんが書いた小説 "Belle et Sébastien" が原作の犬映画「ベル&セバスチャン」です。日本ではかつて「名犬ジョリィ」というタイトルでアニメ化され、NHKで放映されておりました。ちなみに私は主題歌くらいしか記憶にないです。

原作の舞台はバスク地方(Iparraldea)で山を越えるとカタルーニャつまりスペインだったそうですが、今回の映画化ではRhône-Alpesが舞台になっていて山の向こうはスイスです。主人公のセバスちゃん…じゃなくてセバスチャンは血縁のないおじいちゃんのセザールさんに育てられていて、アメリカに行ったお母さんがクリスマスに会いに来てくれると信じています。誰が嘘を教えたのか知りませんが、彼にとってのアメリカは山の向こうにあるらしい。 犬はグレートピレニーズなので舞台を改変されるとあまり地域性が発揮できません(原作通りだとピレネー山脈なのにさ)。 舞台の改変はドラマ性を高めるため…ということで、この映画で主人公たちを翻弄するのはフランスに進駐し、峠を越えて違法出国しようとするユダヤ人の一斉検挙を謀るドイツ軍、ということになっています。フランス語が堪能なイケメンドイツ人将校(Andreas Pietschmann)に萌え萌えです。ヴュルツブルク出身の46歳…えーっうっそー!30代に見えるよ…まあこの映画自体2年前の公開なので撮影時にはもっと若かったんだけど。

話が(変な方向に)逸れましたが。 アルプスの大自然の中真っ白な犬と戯れる美少年…という映像を見るための映画だと思って行った方がいいと思います。ドラマとして悪い展開ではないしそれなりにドキドキヒヤヒヤする場面もあったのですが、山の中で野犬として暮らして真っ黒にすすけたグレピが、ちょっと川で泳いだだけでベテラントリマーが2時間かけてシャンプーブロウした後みたいに真っ白になったり、銃で後肢を撃たれたグレピが、ちょっと消毒して抗生物質を注射されただけで全快したり、狼の群れがグレピ1頭にちょっと睨まれて唸られただけで尻尾を巻いて逃げ出したりするトンデモシーンが散見されて興ざめでした。 イケメンドイツ人将校も、自分の任務そっちのけで、村で出会ったかわいこちゃん(セザールおじいちゃんの姪で、セバスちゃんをかわいがって世話をしてくれるパン屋のアンジェリーナさん)にデレデレして、最後は隊を裏切るような行動に出るし… でも、劇中でナチスからなんとか逃げようとするユダヤ人や、それを見て見ぬ振りをしたり積極的に支援しようとする人たちを見ていると、昨今話題になっているシリア難民のことを思い出さずにはいられず、さて自分が逃げる立場になった時にどうなのかなどなど、考えさせられる部分もありました。 余談ですが(しかもネタバレですが)アンジェリーナさんは村の医師ギヨームさんとつきあっててラブラブでありながらドイツ人将校からも横恋慕されるモテモテぶりなのに、最後あっさり「イギリスに渡ってレジスタンスを支援してくる」とどっちも振ってしまうところが痛快でした。

さらに余談ですが、この映画を見る数日前に、特に地縁もない街をぷらぷらと歩いていたらお散歩中のグレピに遭遇して「きゃーグレピー❤️」と興奮したという経緯があり、これを観に行くことになったのもグレピに引き寄せられたのかなと思わないでもありません(意味不明)。 フランス語とドイツ語の耳はちょっと鍛えられた…かもしれませんけどフランス語はほとんどわかんなかったです。でもかわいい男の子に「ぷるくわ?」なんて言われるとキュンとしますね。 どうでもいいけど邦題、普通に「ベルとセバスチャン」でいいのでは。なぜ"&"なんかにしたんだろう。