Sea of Tranquility

しずかのうみ

テネット

昨日の夜あまり眠れなくて、仕事をしていても空き時間にぼーっとしてしまう…そんな感じだったのであまり気が進まなかったんですが、今日で切れてしまう割引券があったので直前まで迷いつつ結局観てきました。

何を迷ってたかって、『鬼滅の刃』とどっちにしようかなっていうのもあったんだけどね。

wwws.warnerbros.co.jp

はい。『テネット』です。

なんだか時間を弄る話らしいという程度の事前知識で、予告編もろくに見ずに行きました。でも物理と哲学が好きな人は観た方がいいと思います〜!

ネタバレも何もないくらい複雑なストーリーで、一回観ただけでは全貌が解明できず何度も観てしまう人が続出、らしいので詳しく書いて困ることもないとは思うんですが、やはり未見の方々には私が味わったびっくり感をぜひ体感していただきたいので、例によってふんわりした感想でいきます。

複雑なストーリーとはいえ、見どころは一つだけという単純なストーリーでもあるので。

しかし私の感想って一般的じゃないかもだよね…。

・タイトルにも仕掛けあり(ネタバレサイトにも書かれていたのを帰宅後に読みましたが、タイトルクレジットを見た瞬間になるほどって思います)

キエフのコンサートホールという触れ込みの建物はエストニアにある旧ソ連時代の劇場跡、リンナハル。ステージと客席はオスロのオペラハウス。冒頭シーンはクラシックのコンサートが開演するところなんだけど、オケのチューニングがイマイチ合ってなかったぞ。

・主人公は名前がない。とうとう最後まで明かされず。

ケネス・ブラナーのロシア語訛りが巧い。このおじさま、あれだけ高身長美人妻に執着してる割にエッチ度が低くて健全すぎた。

エリザベス・デビッキ、めっちゃ縦に長い。この人のスカートで背の低い女の子用のミニワンピ作れる絶対。この身長が物語後半で突然活かされるのむしろびっくりする。

ホイットマンの詩が引用されて観客の教養を試しにくるぞ。あとはやはりブルックスブラザーズが安物扱いされるところかなあ。怒られなかったのかなあ。マイケル・ケインの嫌味なイギリス紳士が最高だ。

・もっと活躍するかと思っていたバーバラがただの説明役で残念。クレマンス・ポエジーのフランス語訛りがキュート。この映画とっても多国籍なのでいろんな発音が聴けるし、適材適所感がハンパない。ロシア語スキーにはたまらないくらいロシア語がたくさん出てくるぞい。

・最後の最後のネタバレはそこに至るまでわかんなかったけど、途中のヤツはわかったぞ。ていうかなんで最後ほのぼのバディものになっちゃうのよ。楽しかったけどさぁ。

・「絶対時間」というものがもしかしたらあるのかもしれないけど、現代の人類には感じることはできなさそう。人間は自分の目で見た時間の経過しか感知できないんだろうなあ。そこが時間研究のミソなのかもしれない。ただこの映画では、セリフと演技と特殊効果と演出で、とはいえ「時間を逆行するとこうなる」というモデルの一つを提示していて興味深い。物理学監修は『インターステラー』でも協力していたらしいキップ・ソーン先生です。

けが人も心置きなく逆行させるんだけど、人間の体細胞とかってどうなるんだろうね?肺呼吸しかケアしてなかったけどさ。

今、哲学の授業を受けててこの間因果性の講義とかあったんだけど、時間が逆行しても介入がなければ因果律が破られることはないんだね…たとえば、爆破された建物は爆破される前に戻る以外の選択肢がない。時間が「戻る」っていうのは、少なくとも人間にとっては起点のある話で、そこに文字通り「戻っていく」しかない。戻った時間軸から別の方法を選んで未来を変えたとしても、戻っていく過去にバリエーションはない。うーん。

でも、「自分の知らない過去のことはわからない」という点で、過去も未来と同じくらいよくわからない世界でもある。そこで有効なのが「記録」ですよね。記録大事!

というお話でした?合ってる?

劇場でまた観たいかと言うと微妙なお気持ちなので、そのうち配信されるのを待つとしましょう。何度も観たいといえば、何度も観たいし。