首折り男のための協奏曲

首折り男のための協奏曲

「重力ピエロ」のあとは「マリアビートル」いやその前に「グラスホッパー」…とか思っていたのに珍しく新刊に手を出してみた。短編オムニバスで読みやすいかと思ったけどそうでもなかった。この人の文体は長編の方が読みやすく感じる。不思議。そして、映像化されまくっているのが頷けるほどに、情景が目に浮かぶような描写の的確さが相変わらず素晴らしい。 仕掛けも楽しむ作品だと思うのであまり内容は書けないんだけど、表題の「首折り男」はとてもチャーミングな愛すべきキャラクターだった。「合コンの話」の仕掛けとオチがとても楽しかった。どの話に出てきたのかも、詳細な内容も忘れてしまったけど、「東京から大阪に行きたいと思った人は飛行機が欠航しようが新幹線が止まろうがどうにかして行くものだ」みたいな文章がとても印象に残った。 この後はなぜかノンフィクションやドキュメンタリーに興味が流れてしまって、せっかく買った「虐殺器官」もまだ読んでない。そうこうしているうちに新学期が始まって、教科書を読む時間しかなくなりそうだ。