Sea of Tranquility

しずかのうみ

FINAL PHASE 最後の力

第一印象:とってつけたような大団円

とにもかくにも終わりましたね。終わったんでしょ?終わってなかったりして(爆)でもまあ少なくとも今年のSEEDはこれにて終了でしょう。皆さま、お疲れさまでした。
思ったよりも破綻せずに終わったという印象です。そりゃあツッコミどころは多々ありますが(というかほぼ全編ですが)超力業でどうにかエンドマークをくっつけた感じ。この1話を3話くらい使ってやっていればとかそんなことを今さら言っても仕方ありません。けっこうぐっとくる台詞やカットもありましたし、終わったんだからもういいのです。みんな頑張ったね。

ストライクフリーダムの青い翼がきれいでした。ここまできたら毒は皿まで食らう所存で、続編ができてもきっと見てしまうんだろうなぁ私。DESTINYですっかりキラスキーになっちゃったしね〜。魅惑のキララクプレートまでゲットしたくらいに。なにやってんだろういい年して…。
まあ今日のところは犬ぽぷさんに倣って、素直にキラの生還を喜ぶとしましょう。


では本編を少しずつ見ていきましょうか…

アバン:

苦悩に満ちたカガリの表情がいいですね。今まではとにかく直情径行的に武器を取って先陣を切ってきた彼女が、今は戦闘を仲間達に任せて国のことを第一に考える。かつてアスランに「君がやらなきゃならなかったことはそんなことじゃないだろう!」と言われた…あれが伏線としてもっと生きる展開だったらなあ〜!!もったいない。
今回自分の立場や思惑ではなく、あくまでも全体を俯瞰した視点で戦闘に参加したラクス(と、たぶんキラ)は、「自分たちよりもまずオーブを」と半ば捨て石のような状態に身を投げ出します。それを「あれはザフトの船だ!」と言い切って援護するジュール隊長。軍規を逸脱した判断と行動に萌えます…が、これもラクスやキラの目指すものとオーブの理念がシンクロする過程をうまく見せてくれていればぁぁ〜。もったいない。
シン、そんなに簡単にフリーダム掃討をレイに任せちゃっていいんでしょうかね。レイがクルーゼやフラガ家と関わりのある生い立ちなのは放映開始当初から匂わせていたんだから、もう少し序盤でキラとの絡みを作っておけば…つか少なくとも中盤まではシンにとっての敵がフリーダムだったわけなんですが、それがここへきてレイにかっさらわれているのでは今までの積み重ねがなんだったのってことになってしまいます。ああ、もったいない。

Aパート:

キラきゅんがストフリ初起動した時のバンクを使って「数だけいたってね〜♪」とうそぶくムウ兄貴。人のを使い回すな。そしてルナマリア/インパルスとアスラン/ジャスティスの邂逅。ああこの人にあこがれていた時期が自分にもありましたってところか、ルナマリア。そしてメイリンをたらしこんだにっくき色男に…あっさり足を切られます。
そこへインパルスの護衛担当、デスティニーが参戦。つかいちいちデスティニーにかばわれないと戦闘に参加できないインパルスって…。

シン「よくもルナを…ルナをやったなーーー!」

いや、足だけですから。全然やってませんから。
一方、キラとレイはあこがれの一騎打ち。「ワータシハラウ・ル・クルーゼデース」とカミングアウトするレイに愕然とするキラ。
レイに追いつめられるキラを感応して種割れ(でも瞳が青くない)するラクス。このふたりどこまでイッちゃってるんでしょうか。うへへ。
レイはクルーゼの死後「ラウはいない。でも君もラウ。それが運命」とギルに言い放たれ、ラウとしての人生を勝手に始められてしまった。でも信頼するギルについてきた。それを全否定したのがキラだったんですね。

キラ「命は、なんにだって一つだ!だからその命は君だ!彼じゃない!」

前作で「僕は…僕たちは…」と完結しない言葉を吐くだけだったキラもちゃんと主語と述語のある文章を口にできるようになったのですね(感慨)ところでこのあたりは前作見てないとまったくわからない展開でした。今作から見始めた人はどうしたらいいのでしょーか。
さて、ひるんだところへ七色ビームを放たれ、レイはうっかりやられてしまいました。ホントに「うっかり」という表現がぴったりな感じで(笑)

Bパート:

インパルスとデスティニーに足止めされたジャスティスの位置が特定できなくなったのか、アカツキとムラサメ一個小隊が捜索に出ることになったようです。その頃ジャスティスはインパルスに見守られつつデスティニーと熱く交戦…口戦中。つか、見てるだけかよインパルス。
このアニメに限らずロボット物の伝統というか、闘いながらロボの中で会話するっていうのが多いような気がするんですが、この作品くらい重要な案件について戦闘中に敵モビルスーツと会話しまくっていると、MS戦では勝っても口で負けるとかそういう事態も起こりそうです。実際そういう局面もありましたし。
口げんかで解決できるんだったらMSとか大量破壊兵器とか出さないでほしいですよね…。といいつつアスランの熱い台詞を引用してみる。

アスラン「もうおまえも、過去に囚われたまま戦うのはやめろ!」
「そんなことをしても、何も戻りはしない!」
「なのに未来まで殺す気か、おまえは!」
「おまえが欲しかったのは、本当にそんな力か!」
「この、バカ野郎!!!」

石田さんの熱演でこのくだりはけっこうぐっときました。特にラストの「バカ野郎」はひっくりかえった裏声もあいまって真剣味にあふれていた。アスラン、今までヘタレとか頭薄いとか言ってごめんね。一見関係なさそうに見えるルナマリアもこの説得(?)には反応していましたね。ルナマリアにとっての過去は、メイリンの離反?しかしなぜこの局面でステラとかマユとか見えてくるかな。「戦うのはやめてー」「けんかをやめてーふたりをとめてー」みたいな?そして見てるだけだったルナマリアがあろうことかアスランをかばってみたりして、シンの混乱はピークに達します。混乱したままかつての上役にあっさりやっつけられる。シンもレイも旧作主人公ズには、勝てませんでしたね。
アークエンジェルノイマンの神操舵でこれまたあっさりミネルバを落とします。さすがだねっ、ノイマン。議長もあっさりネオ・ジェネシスを撃って、味方まで落としてしまいタリアさんに愛想を尽かされます。そしてレクイエムもあっさりアカツキジャスティス組に破壊されました。なんかこのへん、ホントにあっさり風味でしたね…。
ここはジャスティスと組んだのが、その機体特性からとはいえ、アカツキであったことに意味があるんでしょうか。本当ならカガリが乗るはずだったアカツキカガリは宇宙に出られなかった思いを、ネオ/ムウに任せたアカツキに託したの…かもしれません。ていうかそういう描写があったらなあ〜!もったいない。あ、でもカガリの祈るような1カットがそれかなぁ?あっさりしすぎてよくわかんなかったよ。
単なるアークエンジェル医務室コンビの見せ場だったのかもしれないけどさ…(爆)

その頃シンは、SEEDシリーズ最終回のお約束、裸一貫で異次元空間を漂っていました。そこへ天使が降臨。レクイエム破壊からこのシーンへ移行する音楽の使い方がうまかったな。

シン「どうしたの、ステラ。だめだよ、君はこんなところへ来ちゃ」
ステラ「だいじょうぶ。だから、ちょっとだけ会いに来た」
シン「ちょっとだけ…ちょっとだけなのか」
ステラ「うん。今はね」
シン「今は…」
ステラ「でも、またあした」
シン「あした…」
ステラ「うん、あした」
ステラ「ステラ、昨日をもらったの。だからわかるの。うれしいの」
「だから、あした。あしたね…あした」

戦闘ごとに記憶を書き換えられ、常に「今日」しか持たなかったステラたち強化人間。「今日」しかない人間には「明日」もないだろう。でも、ステラはシンとの出会いを通じて「昨日」の記憶を得て、それにつながる明日を夢見ることもできるようになった。肉体は滅びてもステラの魂を救ったのはシンだったんだよ…という、シンにとっても救いとなるワンシーンだったように思います。
しかし桑島さん、必ず最後にこれをやらなきゃいけないのも大変ですよね@裸で主人公の救済…おつかれさまでした。ちょっとステラが舌足らずで幼児逆行してたのはまあご愛敬か。ステラ死んでからブランクがあったしなあ。

ルナマリア「レクイエムよ…オーブは、撃たれなかった」

オーブが撃たれるか撃たれないかってのがこの話のキモだったとしたら!それこそもっと早い段階でやっといてくれ…。
さて、メサイアを焼き尽くすミーティア&フリーダムの炎。議長の命運もここまでかと思ったけど、どうしても蛇足な最終局面をやらかしたかったようですなぁ。誰もキラと議長の禅問答なんて聞きたくなかったと思うんだけど。

キラ「覚悟はある。僕は、戦う」

よくぞ言いました、キラ・ヤマト
あとは…まあ、こうするしか終わらせられなかったとも思えないけど、作った人がこれでいいと思うならいいんでしょう。疑似家族による一家心中エンド。銃を構えながら笑顔で怖いことをほざくタリア。
自分がお腹を痛めて生んだ子供よりも、昔の男の落とし前をつけることと、その男が翻弄した少年の母代わりとして散ることを選んだ…潔いとは思いませんよ。そんな犠牲は全然美しくないです。
本当に、もう少しなんとかできなかったんかい。使い捨てられた新しいキャラクターたちも、最後の最後につじつまを無理矢理合わせられただけでそれまでの言動になんら厚みもなかった古いキャラクターたちも、なんだかみんながかわいそうなかわいそうエンディングでした。
でも、やけっぱちになって新旧取り混ぜて全員死亡みたいにならなかったことだけは、ホントによかったと思えます。たとえ次に繋げるための姑息な引きだったとしてもね…。