Sea of Tranquility

しずかのうみ

省察 無への跳躍 / meditatio III mazecity

  • ビンセントとピノ、外の世界へ

ビンセントは時々夢で自分?プラクシーワン?の姿を見ていたようです。いつも顔が見えそうで見えない誰か。今日こそ見てやるぞ〜と意気込んだけど今日もダメでした。かわいそ。
今回からOPが挿入されるようになったのですが、恩田尚之の描くビンセントはかっこよすぎるんですよぅ…ふふ…MONORALの曲も聴いているうちに好きになってくるです。ちなみにEDはRADIOHEAD

うーん、ぶっ壊れたドロシー(オートレイヴ)の頭が転がっていくところがエロい(私ってこればっかりですね…)

どうして、俺なんだよぅ

このセリフ、全編通じてビンセントがずーっと思い続けていることなんでしょうねぇ。少なくとも23話Aパートくらいまで。そこに決着がつくまでの物語ともいえるのではないかと思います。
この世界の携帯、つながり方がとっても外国っぽい。発信音とか着信音とか。
この次の回くらいから顕著になるのですが、もともとGENEONが海外輸出をあてこんで制作したものなので、基本的に外国人視聴者をものすごく意識した演出が多いです。つまり、日本人から見ると、ちょっとクサい。

ねえねえ、ピノピノなの?
ピノピノってことでいいの?

感染後初めて出会った人間、ビンセントに対して自我を発揮するピノ、モエス。
しかし怖い怖いと言いながらどんどん自暴自棄になっていくビンセントの性格が妙にリアル。ホントに動転してる人って、わざわざヤバい方に向かって進んでいきますよね。まあ、こうでないと話が進まないわけで、結局恐怖を絶頂まで体験したビンセントはドームの外へ出ることになってしまいます。
信じていたリル監察官に見放された絶望と、移民として、そして良き市民としてうまく立ち回れなかった自分自身への失望を抱えて。
リルはリルで「ちゃんとこっちのサポートを待ってりゃいくらでもいいようにしてやったのに」ってもんでしょうけど、それはそもそも彼女が自分の力を過信しているだけだし、ここから始まる二人の感情のすれ違いがドラマの軸でもあるわけで。それに結果的にリルがビンセントを確保していたらこの話は違う結末を迎えてしまっていたわけだし。

俺はいつだって、良き市民になろうと、自分を殺し、取り繕い、必死に努力してきたんだ。
いつだって、どこだって。
その結果がこのざまか。
出来損ないだ、俺は。

システムを疑うことは悪。
すべてに従う。それが良き市民の条件。
俺は、良き市民にはなれそうもない。

そりゃそーだ。

勘が鋭敏すぎるのだ。

まったく誰に似たのかしら。

市民はすべて並列化された情報をひな形にしている。
局所的近似値には何の意味もない。

やはり情報局などに配属すべきではなかったのだ。

いや、教育的観点から考えても適切な判断だった。
その証拠に市民レベルとしては最高の感受性を保持している。
素晴らしい結果だわ。

しかし、そこから派生する行動力こそが元凶だ。

元凶というならば警備局はどうだ。

案ずることはない。あれだけ念押ししたのだ。

いずれにせよ、このロムドが揺らいでいることは否定できない。

一刻も早く事態の解決に向けた迅速な措置を。
でなければ。

レゾンデートルの崩壊。それが唯一の不安因子。

寝たきりで生命維持装置をつけっぱなし、自らは一切声を発しないリルの祖父、ドノブ・メイヤーの意思を伝える4体のオートレイヴたちの会話。さすがに皆さんリルのことよくわかってらっしゃる。ここで不安因子とされている、崩壊しそうなレゾンデートルは誰のなんだろう?最初に聞いた時にはリルのかと思ったけどきっと違うんだよね…。