Sea of Tranquility

しずかのうみ

万能コンピュータ

なぜこの本を読もうと思ったのかまったくわからない…

万能コンピュータ: ライプニッツからチューリングへの道すじ

万能コンピュータ: ライプニッツからチューリングへの道すじ

 

でも面白かったです、すごく!

私、数学史好きなんですねたぶん。数学まったくわからないんですが、なぜなのか。

最近では『イミテーション・ゲーム』というタイトルの映画にもなった、イギリス人数学者、アラン・チューリングの業績を再評価する内容の本です。著者はアメリカ人でニューヨーク大名誉教授のマーティン・デイヴィスさん。

一般向けと見せかけた?表紙の雰囲気やタイトルと裏腹に、ライプニッツから始まる数理論理学の歴史を詳しく書いた、かなり専門的な数学の本でした。数式論理式いっぱい出てくるし…。専門家じゃなくてもわかるように、平易な解説がされていて助かりましたが、それでも時々わからなくなった私の脳はどうなっているんだ。英文(和文)を論理式に置き換え、最後には自然数の羅列にしてしまうというのは、ここまで詳しく説明されていても直観的に理解するのが難しいです。わかったら相当楽しいだろうな…。

フレーゲのあたりは哲学的な要素もあって、自分の勉強にもなりました。チューリングの項にはサールの話も出てくるし、その前の項ではウィーン学団の話がかなり詳しく書かれています。ブールとチューリング以外はドイツ人の話なので、ちょっとドイツ史にも詳しくなれますね。さらに、著者はゲーデルアインシュタインと同時期にプリンストンにいた人なので、当時ご自分が体験された生のエピソードも紹介されていて、科学史的にも楽しい。

何よりも、文章が軽妙洒脱で、読んでいてとても楽しかったのです。「ぶっ飛んだ」なんて表現も出てくるけど、これは訳者の功績なのだろうか?でもデイヴィス先生、ヘーゲルのことかなり辛辣にコメントされていて、やはりご本人のユーモア感覚が素晴らしいのだと思います。

今回は図書館で借りましたが、自分の勉強のためには、買って手元に置いておきたいという気持ちになりました。