Sea of Tranquility

しずかのうみ

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

公開2日目!私にしては迅速な行動です。映画の日で安かったというのもあって突発的に観てきました。評判もよかったしね。結果的には大興奮でした。怪獣大好き。

以下ネタバレを気にせず進めていきますので未見の方はご注意ください。

godzilla-movie.jpまず "in association with" と東宝がきっちりクレジットされていたタイトルからして期待大でした。

観た人たちの感想をSNSなどでちらほら見た感じでは、「人間ドラマが薄い」とのことでしたが私の印象は、まず、展開が早い

場面がどんどん転換していくので人間側の事情が未消化なまま話が進みます。かなり大事な伏線も目に止まることなく(そもそもあったのかどうかも謎)、後になってちょっとびっくりしたりもしましたが、まあ割と人間はどうでもよかったです。ドラマパートが退屈で寝てしまったというレビューも見たんですけど、こんなに場面転換が早いのによく寝てる暇があるなあと思いました。(内容が薄いのは同意)

お父さんはさんざん妻子をほったらかしておきながら突然戻ってきて、最初こそ怪獣の生態に口出しするなど専門性を発揮していましたが後半はただ騒いでいるだけの人になってしまいました。要所要所ではいいこと言ったりやったりするんですけどそれだけに終わってしまったのは残念。もともとこの映画は「ヒーロー」が誰なのかわかりにくい構造ではありましたが。ボストンシークエンスでの奥さんとの掛け合い漫才はよかったですね。

お母さんはたぶん観た人からは一番非難される役回りだと思うのですが、いろんな場面でキーマンとして動くおいしい役でもありました。ヴェラ・ファーミガ、私は『エスター』しか観たことないですが今回も似たような役(子供を亡くしたことがありそれをいつまでも引きずっているけど最後は大立ち回りを演じて克服する)に当たりました。

娘ちゃん、この子がオルカを普通に操作できることに関しては冒頭でもう少し言及しておいてもよかったんじゃないですかね。私がテロリストならこんな余計なお荷物は生かしておきませんけど、この子はラッキーでしたし我々人類にとってもラッキーでした。ボストンシークエンスで、ゴジラが来たのを見て勝利を確信するホホエミがよき。予告編や前半の1シーンを見た感じで、この子が(平成ガメラにおける藤谷文子的立ち位置の)モスラと心を通わせられる存在みたいになるのかな?と一瞬思いましたがそれはミスリードでした。

オルカ、一度更新されたデータは容易に呼び出すことができるのかな?最初はモスラに合わせるのすらけっこう苦労していたのにボストンではうまく行きすぎ。もっともボストンのシークエンスは総じていろいろうまく行きすぎでしたけど。テロリストたちももう少しこの機械をしっかり監視しておくべきだったのでは…。要するにテロリストの詰めが甘すぎ案件なのか?

芹沢博士、棒読み日本語英語がどこまでネイティヴに理解されたのか興味があります。オキシジェンデストロイヤーについてももう少し芹沢家の因縁を前面に出していただきたかった気がしますが、"Oxygen Destroyer" をアメリカ人が英語で発音するのは萌えポイント。批評サイトではオキシジェンデストロイヤーの取り扱いが軽すぎるとお怒りの声もありましたし私もそれは感じましたが、オキシジェンデストロイヤーでダメージを受けるのが「ゴジラだけ」というのは監督のこだわりだったのでは?そこは私の中では高評価です。

チャン・ツィイーさん、ひたすらお美しいモスラ羽化シーンでの美しさは神がかっておられました。で、今作における小美人はこの人だったんだなと気づきましたが、髪の長い方がその片割れだったことには終わってからも気づかず。これは演出がまずかった気がします。「ギドラ」の発音がよい…。

ソノグラファーのスタントンさん(黒縁メガネのおじさん)、ちょいちょい寒いオヤジギャグをはさんでくれて楽しかった。モスラゴジラを助けに来た時のセリフがナイス(でもつまんないしフェミからは叩かれそう)なのでお聴き逃しなく。(ゴジラ復活シーンで「俺たちは部屋でビールを飲みながら観戦だな」と言ったのもよかったし、そこで「いや、今度は俺たちも戦うんだ」という切り返しを入れたパパもナイス)

ラドン登場で、地面に飛び去るラドンの影が映るのは旧作へのオマージュっぽくて萌えました。ラドンはいいところでいい感じに邪魔しに出てくるのですがなんだか小物感が最後の最後まで拭えなくてかわいそう。真のラドンファン(?)の望みとしては、彼のごはんであるメガヌロンも出していただきたかったし次回以降期待しています。今更ですけど、ラドンの形態って飛行には不利なのでは…初代?ラドンは中に人が入らなきゃいけなかったから仕方ないし、今になって飛行可能な形態に変えられても困るからいいんですけどさ。バレルロールはやりすぎでしょ。

キングギドラ、確か劇中で「キング」をつけて呼ばれたことはなかった気がします。思えば金子修介版では護国聖獣として日本を守るためにゴジラと戦ってくれたギドラちゃんでしたが、もとをただせば金星文明を破壊した宇宙生物でしたから、こちらの方が正史に則っているわけですね。個人的にも、「バラゴンとモスラキングギドラが協力してゴジラを倒す」より「ゴジラモスラとあともう一体くらい(できればラドン)が協力してキングギドラを倒す(三大怪獣地球最大の決戦)」方が納得して観ることができるんですが、今作では完全に2対2になってしまっていたのがちょっと…。キングギドラの3本の首はそれぞれ自我を持っていてよく喧嘩したりしてるんですけど、本作でもちゃんと喧嘩してました。設定上は真ん中の子がリーダーで、脇の2本に対し優位だそうです。確かボストンででっかい花火を上げて喜んでいました。電気がごはんなのか。体も黄色いし、ピカチ(以下自粛)

bunshun.jp

モスラ様。ふつくしい…!でも幼虫ちゃんの可愛い姿があまりフィーチャーされていなかったのが不満。幼虫ちゃんが地面をのたのた歩くシーンをもっと入れて欲しい。もっとも今回の女王様すでに産卵済みだったようなので今後に期待。モスラ、単為生殖?もうとにかくモスラの翅が美麗すぎるし青い眼が可愛すぎるしラドンをやっつけるところかっこよすぎるしキングギドラにやられながらもゴジラにアレをアレするところは感動ものでした。

ゴジラはえーっと、なんかバッファローとかゴリラとかグリズリーとかそんなのが混ざっていました。今回は顔芸がすごかったですね。ツイッターで誰かも書いてたけど泳ぐゴジラはキュートです。寝てるゴジラもかわいいです。あんまり渡辺謙と目で会話してほしくなかったけど展開上仕方ないですかね。そういえばラドン以外の子たちは目がアップになることが多かったですね。キングギドラも。目が普通の生き物っぽくてイマイチなんですよね。

オキシジェンデストロイヤーでぐったりしていましたが、その後核弾頭をおいしくいただいてパワーアップし、無事地球の王に返り咲きました。なんかライオンキングか?と思ってしまった。造形がスマートなのはシンゴジラの方だと思うのでうまく合体させてほしい。というか今作の一つの問題として、核の扱い方が軽いというのがある気がします。ダメージ受けたゴジラの滋養強壮剤代わりに使われるのでは、54年版が浮かばれない。とはいえ核兵器ってもう最強最大の兵器とは言い切れなくて、今はそんなの使わなくても大都市にダメージを与える手段がいくらでも揃っているし、制圧した後の始末にも困るのでわざわざ使う馬鹿はいない、ゴジラのごはんにしとけばいいんだよっていう考え方もそれはそれでありなのかもしれないですね。使った場所自体は我々の生活にはなんら影響のないところでしたし。(オキシジェンデストロイヤーの方がよっぽど我々の生活圏に影響しそう)

それはそれとしてMV-22がめっちゃ活躍するんですけど。MV-22がないとストーリーが成立しないんですけど。脚が長いとは聞いてましたがコロラドからバミューダまで無給油で飛べるんでしょうか。

ちょいちょいいろんな特撮作品の引用があるようなのですが、人間のピンチにゴジラ/モスラの介入がギリギリのところで入るアレ、平成ガメラ1作目じゃないですかね?他でもやってるとは思うけど私は平成ガメラが真っ先に想起されました。

次作はコング対ゴジラらしいのですが、ポストクレジットではギドラ改の可能性を示唆して終わります。最後の最後まで席は立たないことをお勧めします。ていうかテロリストしぶとい。資金源はどこなんだろう?

エンドタイトルクレジットで日本人スタッフの名前を探すのが好きなんですけど、今回もちらほら(東宝ではなく現地スタッフとして)見受けられて頼もしいなって思いました。エンドタイトルの最後には中島春雄さん(初代ゴジラスーツアクター)と坂野義光さん(2014ゴジラの製作総指揮であり『ゴジラ対ヘドラ』の監督)への追悼メッセージも出されていました。

総じて音楽(伊福部サウンドを踏襲しており新録のオケがかっこいい。古関裕而先生の『モスラの歌』にはフレージングにちょっと難があり)も怪獣の咆哮もよいので音響のいい映画館で観ることをお勧めいたします。